今年のゴールデンウイークは読書と湯治のためだけに旅行に行った。目的地は丸沼温泉環湖荘という湖畔の旅館で、尾瀬と日光の中間あたりにある。公共交通機関を乗り継いで4時間半、高崎まではグリーン車を奮発した。車窓を眺めながらおにぎりをかじり本を読んで過ごす。持っていった本はこのようなラインナップだ。

環湖荘へ在来線で行く場合本来は行程の最後にバスに乗るのだが、5月はそのバスが運休している。そのため、道の駅尾瀬かたしな近くの鎌田停留所まで行き、そこからは旅館のスタッフさんが車で迎えに来てくれた。国道120号線をひたすら走る。進むにつれて山が深くなり、気温が低いせいか新緑がまだ控えめだ。30分ほどで国道を外れて下り坂を降りきったところに旅館はあった。帰り際に教えてもらったのだが、下り坂の道路は比較的新しいもので!昔は渡し船で客を旅館まで運んでいたらしい。

旅館の正面に立つと丸沼が広がる。

東京のビル群ばかり見ている目には清々しいくらいのレイクビューだ。この辺りは一層寒く、芽吹く直前の裸の木々に囲まれた湖は静かだった。私はしばらくそこに突っ立って湖をぼんやりと眺めていた。そして、ここで3泊4日思い切りダラダラすることを決心した。
この丸沼を描いた絵が東山魁夷の作品集に載っていたことを、旅の計画を立てながら知った。1953年の作品だという。当時の交通事情でここまで来たとなると相当な執念か、あるいは普通じゃない財力か…。どちらにせよすごいことだと思う。
滞在中は心に決めた通りダラダラに徹した。本を読み、ご飯を食べ、うとうと昼寝をし、温泉に入り、スキンケアをする。この5つのローテーションを3泊4日かけてひたすら繰り返した。単純泉なので何度入っても肌への負担が少なく、1日4回は浸かったと思う。スキンケアは旅行に合わせて少し奮発したものを持参した。食事は朝夜が旅館から出て、昼は旅館の隣の食堂で食べた。4日間かけてイワナとヤマメをさまざまな調理法で食べ比べた結果、それぞれの違いが分かるくらいにはなった。

普段、休日にダラダラすると「なんにもしなかったなあ」という罪悪感が残る。しかし今回はそれがなかった。理由は二つだと思う。一つは最初から休むためだけに来た旅だったこと。もう一つは温泉と自然しかない場所で、できることが他に何もなかったこと。選択肢が無くなると潔くダラダラできた。
さて、最終日の朝、目が覚めて窓の外を見ると雪が積もっていた。

驚いた。5月に入ってのことだったから、まさかという気持ちと同時に、ここは本当に山奥なのだという実感が改めて込み上げてきた。とはいえ多くは積もらなかったようで、朝日を受けてすでに溶け始めている。環湖荘の屋根からは雪解け水がぼたぼたと落ちていた。
チェックアウト後は川場田園プラザに寄った。環湖荘で毎朝出されていた飲むヨーグルトがおいしかったので、買って帰りたいと思っていたのだ。探してみるとちゃんと売られていた。無事に購入。いいお土産になった。