ヒロアカと宮沢賢治

2023年6月からヒロアカにハマった新参者です。やっと本誌に追いつきました。ネットではとっくに既出だと思うけど、堀越先生すごいな〜と思ったのでブツブツ記事にしてます。※最新話(No.399)の話までしてるのでネタバレ注意です

 

 

最新話(No.399)のタイトルが、有機交流電燈でした。これは宮沢賢治の『春と修羅』に出てきます。

 

宮澤賢治の詩集「春と修羅」(序)

有機交流電燈』

わたくしといふ現象は

仮定された有機交流電燈の

ひとつの青い証明です

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよに

せはしくせはしく明滅しながら

いかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈の

ひとつの青い照明です

(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

 

AFOが「法灯(のりのともしび)は消える」(※法灯は師から弟子へと伝えられる法脈を灯火に例えた語)って言って後にオールマイトが「人々は明滅するのだ!」から続く発言*1(注釈にセリフ記載してます)と反撃、そこから場面展開して青山くんの光を受けた葉隠さんの集光屈折ネビルレーザーは熱過ぎた…まさかネタ枠だと思っていた青山くんのヒーロー名がこんなにカッコよく登場するなんてな…タイトルのみならず、1コマ目に山猫軒の看板が出てきておや?と思う。なぜこんなに宮沢賢治なんだ…?

少し考えて私はハッとする。デクってあの「デクノボー」じゃん!!!!そうです、「雨ニモマケズ」のあれ。と思ってググったら出てきました。堀越先生がデクのモチーフについてコメントしています。デクvsA組の辺りの話です。

 

 

※本来はカタカナですが読みやすく平仮名にしました。

雨にも負けず

風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫な体をもち

欲は無く

決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きしわかり

そして忘れず

野原の松の林の陰の

小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば

行って看病してやり

西に疲れた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行って怖がらなくてもいいと言い

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろと言い

日照りの時は涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず

そういうものに

わたしは なりたい

 

読みながらvsA組時のデクの心情を思うと泣けてきちゃうな…デクは落ち着いたら美味しいカツ丼をお腹いっぱい食べてほしいね。

 

他にも宮沢賢治ネタがあるのでは…?と考えを巡らせ、1巻からまた読み始める。するとどうだろうか、デクとかっちゃんの幼少期の、水に落ちたかっちゃんにデクが手を差し伸べるシーン。銀河鉄道の夜に思えてならない。登場人物は複数人いるけどストーリーの要素として、いじめられっ子、いじめっ子、幼馴染、水に落ちた子供、身代わり…それっぽいのが出てくる出てくる。ジョバンニの切符はデクが授かったOFAなのか。銀河鉄道の夜は「本当の幸せとは何か」というテーマのもと描かれた未完の物語。ヒロアカに置き換えれば「本当のヒーローとは何か」が、ずっと問われています。堀越先生はどのように決着させるのか、楽しみで仕方ない!

 

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねぇ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」

「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。

 

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*1:

オールマイト「人は明滅するのだ!私の灯が消えようとも、私の灯を受けた誰かが照らすー、そうして照らされた闇がりに…そうして闇がりは照らされ、私もまた輝けるのだ!」